🎶 音を変えるのは、角度だけじゃない。
ケーナを始めてしばらくすると、多くの人がこうつぶやきます。
「なんか音が薄い気がする…」
「同じ角度でも、鳴ったり鳴らなかったり…」
「音は出てるけど、全然鳴ってない感じがする…」
それ、もしかすると唇の使い方が“ズレてる”のかもしれません。
角度や構えをどれだけ整えても、
最後に息が「どう出ていくか」を決めているのは、唇のかたちと開き方なんです。
① 唇は“息の出口”ではなく、“音のコントローラー”
ケーナを30年吹いてきて感じるのは、
唇はただの「出口」ではないということ。
ケーナの種類や太さ、U字口の深さ、素材の鳴りやすさに応じて、
唇の開きや締め方を少しずつ変えています。
たとえば…
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細いケーナ・厚みが薄いケーナ → 唇の開きは細めに
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太いケーナ・肉厚なケーナ → 唇の開きは緩めに
この調整ができていないと、
細いケーナでは音が割れたり、
太いケーナでは蚊の鳴くような細い音になってしまいます。
つまり唇は、そのケーナに合った息の出方を“最適化”する装置なんです。
② 僕が調整しているのは、「唇全体」ではなく「口角」
唇といっても、どこをどう使っているのか?
実は僕が調整しているのは、**口角の“締め具合”**なんです。
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口角をグッと横に引くと、息が細く鋭くなる
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口角をゆるめると、息が太く、広がっていく
つまり、息のスピードと密度を口角で微調整している感覚です。
このとき、唇そのものはなるべく力を抜いておくのがコツ。
ガチガチに締めるのではなく、
“ちょうどいい形を保つ”ために、口角だけをコントロールしているんです。
③ 唇の「固定と可動」:動かすのは上、止めるのは下
僕の吹き方では、下唇は固定、上唇が調整役です。
特に大事にしているのは、下唇の上端とケーナのU字口の高さを合わせること。
この接点がズレると、音は出ても「響きが失われる」んです。
だから僕は、どんなケーナを吹くときもまずここを基準に合わせます。
ケーナによって微妙に位置が違うので、鏡で確認したり、音の響きで調整したりしながら、
“コーン!”と鳴るポジションを探ります。
④ NG例:よくある「音が出ない唇」の形
初心者の方がよくやりがちなのが、以下の2つ:
● 被せ口
→ 上唇が前に出て、息が下向きに流れてしまう
● 尖り口
→ 口笛のように唇を尖らせ、息がまとまらず拡散してしまう
どちらもケーナのU字口に正確に息が当たらなくなるため、音が出にくくなります。
まず音を出したいときは、唇の力を抜いて、下唇とケーナのU字口を真っ直ぐに合わせてみてください。
音が出たら、そこから唇の開き・口角の締め具合を少しずつ調整すると、
驚くほど音が鳴り始めます。
⑤ 音が鳴ったときの「身体の配置」を記憶する
音が「コーン」と鳴ったとき、
そのときの下唇の位置・口角の締まり具合・息の太さ・姿勢をよく覚えてください。
ケーナは、その日の体調や緊張感で微妙に吹き方が変わる楽器でもあります。
でも、“鳴った瞬間”の身体の感じを記憶しておけば、
次に迷ったときの自分だけのチューニング基準になります。
🎵まとめ:唇は「鳴らす身体」の仕上げ
唇はただの通過点ではありません。
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息の太さ・スピード・角度を微調整し、
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ケーナの構造と響きをつなぐ、
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身体の中でも最も繊細なコントローラー
音が鳴ったときの唇の形を、
ぜひあなたの感覚で見つけてみてください。
それが、ケーナと“通じ合った”合図かもしれません。
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